楕円銀河から放射される紫外線の源
【1999年10月26日 Space Science Update (NASA, STScI)】
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アンドロメダ銀河・M31は私たちの銀河系の隣りに位置し、2つの伴銀河をもつ。そのうちのひとつ、M32は比較的古い星ぼしから構成される楕円銀河で、強い極端紫外線(紫外線の中でも、特に波長が短い光)が発せされていることがわかっていた。しかし一般に楕円銀河の中心部はひじょうに密集しており、これまでその源を捉えることはできなかった。
ハッブル宇宙望遠鏡の紫外線カメラ(STIS)は、これまでぼんやりとした光芒にしか見えなかった楕円銀河の中心部を紫外線で分解することに成功し、そこに極めて表面温度が高い、古い星ぼしの集団があることを明らかにした(上図)。これらの星ぼしは年老いた星たちであり、その中心部では核融合反応の燃料である水素をほとんど燃やし尽くし、その生成物であるヘリウムの核融合反応で輝いていると考えられている。
上の画像は楕円銀河M32の中心部のみがクローズアップされている。実際のM32の広がりは、この視野の約20倍もの大きさとなる。
楕円銀河は、宇宙のさまざまな銀河の中でも比較的古い星で構成され、構造が単純であるという特徴がある。また遠くの楕円銀河の中にはひじょうに明るいものもあり、星と銀河の進化を調べるのに有用である。そのため距離が250万光年、私たちからもっとも近い楕円銀河M32の中心部を調べることは極めて重要である。
<参照>・STScI-PR99-40 October 26, 1999