「しし座流星群」ヨーロッパで大出現

【1999年11月19日 国立天文台天文ニュース(307)】

11月18日頃に出現が予測されていた「しし座流星群」は、18日世界時2時頃をピークとして、ヨーロッパを中心に、1時間あたり数1000個にのぼる大規模な出現を見せました。 1966年にアメリカで観測されて以来33年ぶりの大出現に、流星観測者は興奮に包まれています。 これまでに届いた情報から大略をお知らせします。

地中海上空で観測をおこなったNASAの航空機からは、ピーク時刻を中心に、毎分100個を上回る流星を1時間余りも観測し続けたことがニュースなどで報道されました。 地上の観測では、スペイン南部のマラガ(Malaga)やフランスのゴルジュ・デュ・ブルドン(Gorges du Verdon)、カナリヤ諸島のテネリフェ(Tenerife)などから、ピーク時刻に毎分20から30個の流星を観測、その他アフリカ北部、東、中央ヨーロッパ、トルコ、イスラエル、ヨルダンなどでは、少なくとも1時間あたり50から100個の流星を見たことが報告されています。 これらの報告から、国際流星機構(International Meteor Organization; IMO)は、ピーク時の天頂修正流星数(放射点が天頂にあるとして換算した流星数で、大略、実際に観測した流星数の2倍程度)が5000程度になったと見積もっています。

今回観測されたピークの時刻の18日世界時2時5分(プラス・マイナス10分)は、地球が流星群の母彗星の軌道面を横切った時刻とほぼ正確に一致し、予想時刻が的中しました。 これはまた、3周期前(100年前)にテンペル・タットル彗星が放出した「ちり」が大出現を起こすとして、イギリスのアッシャー(Asher,D.)らが予報した時刻である2時8分とも、よく合っています。 昨年のピークが18時間も早まったことと際だった対比といえます。

日本では、11月18日の夜明け前がもっとも好条件と見込まれていました。 しかし、その期間、日本は大部分が雲に覆われ、わずかに晴れた北海道東部で1時間に10個程度の流星が観測された他は、雲の切れ間から数個を観測したにとどまりました。 それでも、翌19日未明は好天に恵まれ、3時前後に、各地から1時間に100個程度の「しし座流星群」の流星を観測したことが報じられました。 空の条件の良い北海道陸別町からは、1時間あたり300個という報告も届いています。 結果からいいますと、天候条件も含めて、予想された18日よりも19日の方が、流星観測に遙かに恵まれたことになりました。 出現ピーク時刻の予想の難しさを思い知らされた今年の「しし座流星群」でした。

参照IAUC 7311(Nov.18,1999).
IMO Press release (http://www.imo.net/leo99/leo99news.html).
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