NASA、マーズ・ポーラー・ランダーの通信回復に努力

【1999年12月5日 NASAMARS POLAR LANDER

NASAの火星探査機“マーズ・ポーラー・ランダー”は、日本時間12月4日5時過ぎに、火星表面の南極付近に到達したはずだが、その後交信が途絶えままの状態が続いている。

マーズ・ポーラー・ランダーは火星の極地方への初着陸を目指した探査機。着陸後は地下の水分や二酸化炭素の量を測定し、生命存在の可能性を探る予定であった。

NASAはマーズ・ポーラー・ランダーは火星表面に着陸しているが、1.アンテナが正しい方向に向いていないか、2.何らかの異常により“待機モード”に入ってしまっているのでは、と考えている。このため、このどちらかが起こったことを想定し、アンテナの向きを変えたり、待機モードを解除する信号を送るなどを操作を繰り返した。しかし5日現在、着陸後に送られてくるはずのマーズ・ポーラー・ランダーからの信号はいまだ受信されていない。着陸前に切り離された、2個の激突型の探査装置からの信号もまだ届いていない。

このためNASAは、日本時間の6日午前に、通信系統を現在火星周回軌道にある“マーズ・グローバル・サーベイヤー”経由に切り替えて、交信を試みる。また、午後には、アンテナの向きと待機モードの両方の問題が重なったことを想定した指令を送る。しかし、これらにても通信が回復しないとなれば、マーズ・ポーラー・ランダーは、火星への着陸に失敗した可能性が濃厚となる。

NASAの火星探査では、今年9月のマーズ・クライメイト・オービター、93年のマーズ・オブザーバーと近年2機の探査機を失っている。今回のマーズ・ポーラー・ランダーも交信不能のままとなれば、今後の火星探査計画に大きな影響を及ぼすことは必死であろう。

5日現在、NASA-TVでは、マーズ・ポーラー・ランダー関連の番組を流しつづけており、以下の所で管制室のようすなどを見ることができる。

参考: MARS POLAR LANDER(NASA オフィシャルページ)
  MARS POLAR LANDER(宇宙開発事業団ミラーページ)
  My Home Gallery - マーズ・ポーラー・ランダー特集ページ
  横浜こども科学館 - 宇宙・天文ニュース - あいつぐ火星探査機
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