修理後のHSTによるファーストショット

【2000年1月24日 Space Science Update (NASA, STScI)

1999年11月から使用不能に陥り、同年12月に修理ミッションが行われたハッブル宇宙望遠鏡であるが、NASAは今年1月24日、その修理後のハッブル宇宙望遠鏡によるファーストショット画像を公開した。

NGC9392
画像1 惑星状星雲 NGC9392

画像1は惑星状星雲 NGC9392 の画像。地上の望遠鏡を通してみた場合に毛皮のジャケットのフードをまとった顔のように見えるため、エスキモー星雲と呼ばれる。このハッブルによる画像では、「フード」は実は中心の死にゆく恒星から吹き出た彗星状物体によるリングで飾られた円盤状の構造であることがわかる。そして「エスキモーの顔」にあたる部分もいくらかの魅惑的なディティールをもつことが見て取れる。この明るい中央の領域はもつれたボールを連想させるが、これは実は中央の恒星から高速に吹き出される物質で構成された泡状構造である。

重力レンズ効果
画像2 巨大銀河団(Abell 2218)による重力レンズ効果

画像2は Abell 2218 とよばれる巨大銀河団による重力レンズ効果を撮像した画像。この銀河団はりゅう座に位置し、地球から約20憶光年の距離にある。この銀河団は非常に巨大であるため、その背後から来た光をその巨大な重力により偏向させる。この効果は光学レンズによる屈折効果に似ているため、この現象は重力レンズ効果と呼ばれる。重力レンズ効果ははるか遠方の物体の像を拡大したり、集光したり、また歪めたりといった効果を生む。この画像には銀河団の重力レンズ効果により、最大クラスの望遠鏡を使っても通常は見ることが出来ないような遠方の銀河の姿も見られる。

参照
STScI- PRC00-07(エスキモー星雲)
STScI- PRC00-08(重力レンズ)
STScI- PRC95-14(重力レンズ:同じAbell 2218を95年6月に発表したもの)