最も若い星団の発見(続報)

【2000年2月4日 (Discovery Online, 2000/1/19)

星の形成における最も初期の段階にある星団が発見された。今回発見された星団は誕生から50万年程度の500〜1000個ほどの星から構成されているもので、これまで発見された中で最も若いものである可能性が高いという。( 速報・「最も若い星団の発見」より)

星団が誕生するためには、その周囲にじゅうぶんな量のガスが存在する必要がある。その中で重力的な効果が働くことにより、ガスの一部が自己収縮をはじめ、ガス内部に星が形成されていく。輝きだした星はその放射により周囲のガスを吹き飛ばし、星団として観測されるようになる。

星団の中でも星が密集しているものは球状星団と呼ばれるが、これらの星団を構成する星の年齢は10億年以上の古い星が多いことが知られている。これらの星団は既にガスを周囲に吹き飛ばしてしまっている。この状態になるまでに、少なくとも100万年から10億年という長い時間がかかるとされている。

若い星団はガスに包まれているため、その内部を可視光により直接観測することはできない。しかし、可視光よりはるかに長い波長の電波はガスを透過することができるため、電波望遠鏡による観測は可能である。今回発見された星団は誕生してからわずかに50万年しか経ていないもので、本来は周囲のガスによってみることのできない内部の様子をVLAと呼ばれる高分解能電波望遠鏡によって捉えることに成功したものである。

地球から約3200万光年離れたHenize銀河(右上)の中に見つかった若い星の集団の画像 (Discovery Onlineより)。VLA電波望遠鏡によりガス中の電離水素の輝線分布を捉えたもので、数個の輝点が星を包み込む“まゆ”として見えている。

この画像を発表したウィスコンシン大学のヘンリー・コブルニッキー(Henry Kobulnicky)氏によると、電波望遠鏡技術の向上により、今後このような若い星団がつぎつぎに発見される可能性があるという。銀河系内の球状星団は既に古い星から成るものばかりであり、その誕生時のようすを知ることができない。他の銀河の中の星団を高分解能電波望遠鏡で観測することにより、その誕生のようすや力学的進化の謎が解けるかもしれないのである。