2022年、小惑星2000 BF19地球衝突?
【2000年2月10日】
2月7日、イタリアのピサ大学の天文学者Andrea Milani氏が、先月発見された小惑星2000 BF19が、100万分の1程度のわずかな確率ではあるが、2022年に地球に衝突する危険性があるという警告を発した。この小惑星は直径1km未満の非常に小さなもので、今後すぐに観測不能になと予想されたため、Andrea Milani氏は天文学者たちに今すぐこの小惑星の追跡観測を行うよう促した。
アストロアーツでも、アメリカ・ローウェル天文台で公開されていたこの小惑星の軌道要素をもとに元期を2022年に変換後ステラナビゲータ5で位置を追跡させてみた。この小惑星は2022年5月5日、たしかに地球に0.123AUにまで接近することがわかった(上図)。この程度の距離であれば衝突の危険はないが、問題は軌道要素の精度であり、追跡観測によって、より正確な軌道要素が判明するまでは安心はできない。
そしてその後、アリゾナのJim Scotti氏とオーストラリアのRob McNaught氏による追跡観測の結果を元に新しく計算された軌道要素によると、小惑星2000 BF19は今後50年の間に560万km以上地球に接近することは無いことがわかり、地球衝突の可能性は完全に否定された。
過去にも地球衝突の疑いが持たれる小惑星はいくつか発見されているが、いずれもその後の詳細な観測により衝突の可能性は否定されている。ただし、例外として小惑星1998 OX4は詳細な観測が行われる前に見失われてしまっており、1000万分の1程度の確率ながら、2038年1月に地球衝突の可能性がある。さらに、より低い確率ながら2044年および2046年にも衝突の可能性を秘めている。
・21世紀に地球に接近する可能性のある小惑星のリスト(英文)