MGSがとらえた火星の冬明け

【2000年2月24日 NASA MGS MOC Release No. MOC2-208 (2000/2/22)

MGSがとらえた南極冠の変化 この6ヶ月で、火星の南半球は春を過ぎ、初夏を迎えた。春は1999年8月に始まり、1999年12月末には初夏を迎えた。マーズ・グローバル・サーベイヤーは、この間の南極冠の変化を克明に捉えることに成功した。

画像左は1999年8月6日、中央は1999年9月30日、右は2000年2月6日の撮影で、南極冠のほぼ同じ地点を撮影したもの。いずれもマーズ・グローバル・サーベイヤー(MGS)の火星軌道カメラ(MOC)によるもので、太陽光は右下からきている。

冬の間霜に覆われていたこの領域は1999年8月はじめに融け始め、黒っぽい地点が見られるようになった。そして風がこの黒っぽい物質を吹き飛ばしたため、黒い縞ができている(画像左)。9月下旬になると、地形の多くがこのくらい物質で覆われ、多くの黒っぽい風紋が見られる(画像中央)。そして年が明けて2月、霜は完全に解け去り、また黒っぽい物質も見られなくなっており、下の層が露出している(画像右)。

MGSに搭載されている熱放射分光器(Thermal Emission Spectrometer, TES)によりこの低温部の温度を計測した結果によると、左と中央の画像に見られるこの霜はほとんどが二酸化炭素の氷(ドライアイス)であるらしいということだ。

(画像=NASA/JPL/Malin Space Science Systems)