オリオン大星雲内に「自由浮遊惑星」を発見
【2000年3月23日 BBC News (2000/3/22)】
ハートフォードシャー大学のPhilip Lucas博士およびオックスフォード大学のPatrick Roche博士は、オリオン大星雲内に13個の「自由浮遊惑星(free-floating planet)」とでも呼ぶべき天体を発見したと発表した。両博士によると、これらの天体は確立された軌道を持たず、宇宙空間をただ漂っているという。
この発見は、オリオン大星雲内のトラペジウム星団と呼ばれる領域の赤外線による詳細探査においてなされた。この領域は、新たな星が誕生しつつある領域として有名である。
同様の天体は過去に2例のみ発見されている。今回同一星団で13個も見つかったということは、超大型惑星または小型恒星はこれまで考えられてきたよりはありふれたものであるということを示しているのかもしれない。
今回の探査では、100個以上の褐色矮星(brown dwarf)も発見された。褐色矮星とは、恒星の輝きのエネルギー源である核融合反応を引き起こすために必要な質量を持たない星のことで、木星の13倍より少し大きい程度の質量であり、名前の通り褐色のわずかな輝きを放っている。
今回発見された13個の「自由浮遊惑星」は、褐色矮星としては小さすぎるため大型惑星と呼ぶべきものだが、太陽系の惑星のような確立した軌道は持たない。今回発見されたうち最小のものは木星の8倍程度の質量のもので、誕生したときの余熱であるわずかな熱放射を放っている。
褐色矮星や「自由浮遊惑星」はすぐに冷えてしまうが、まだ若く誕生の余熱が残っているうちなら比較的検出しやすい。トラペジウム星団の星々は、最も古いものでもわずか100万歳程度である。
この探査は今も進行中で、ハワイにある英国赤外線望遠鏡(United Kingdom Infrared Telescope, UKIRT)に搭載された新型カメラを用いている。
なお、これらの発見は、王立天文学協会(Royal Astronomical Society)の月報にて報告される予定。