超新星残骸E0102-72のX線・可視光・電波の合成画像
【2000年4月11日 NASA Chandra Photo Album (2000/4/10)】
NASAのチャンドラX線宇宙望遠鏡によるX線画像(青)、NASAのハッブル宇宙望遠鏡(HST)による可視光画像(緑)、および地上電波望遠鏡による電波画像(赤)の3つを合成した超新星残骸E0102-72の画像が公開された。
E0102-72は近傍銀河である小マゼラン雲内の超新星残骸。我々の太陽系から小マゼラン雲までは、約19万光年であり、超新星爆発から数千年後を経た残骸から発せられた光が、19万年かかって地球に到達し、それを今我々が観測しているのである。
この残骸を形成した超新星爆発は、毎時2千万km以上の膨張速度で起こり、これが恒星を取り巻くガスと衝突し、衝突により2つの衝撃波が発生した。1つは外側へ広がっていくものであり、もう1つは逆に爆発で撒き散らされたガスが充満する内側へと向かっていくものである。
電波画像(赤)は、オーストラリア望遠鏡コンパクト干渉計(Australia Telescope Compact Array)によるもの。電波は、残骸ガスの磁気圏を渦巻く非常に高エネルギーの電子によるものであり、これは外側に広がりつつある衝撃波の位置を示している。
チャンドラによるX線画像(青)は、内向きの衝撃波を受けてセ氏何百万度にも熱せられたガスからのX線放射を示す。チャンドラにより得られたX線域に関する情報により、このガスには酸素やネオンが豊富に含まれていることがわかっている。これらの元素は恒星内部の核融合反応により形成され、超新星爆発により放出されたものだ。
HSTによる可視光画像は、セ氏3万度程度まで「冷えた」酸素の高密度塊をとらえたもの。
このように異なる性格を持つ望遠鏡によりとらえられた画像を合成したものは、天文学者たちが超新星爆発をより良く知るために役立つ。これにより彼らは超新星爆発で形成される生命に必要な物質がどのように分散していったかを知ることができるし、外へ広がる衝撃波のエネルギーも知ることができるのだ。
画像提供=X線: (NASA/CXC/SAO); 可視光: (NASA/HST); 電波: (ACTA)
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