民間の月探査ローバー計画
【2000年6月16日 FLORIDA TODAY Space Online】
アメリカ・バージニア州アーリントンのルナコープ社(LunaCorp)は、2003年に月面にローバー(自走式の探査機)を送り込む計画を発表した。
このアイスブレイカー・ローバーと呼ばれる探査機は、ピッツバーグのカーネギー・メロン大学ロボット工学所の代表的な科学者、Red Whittaker博士の手により現在設計が進んでいる。月の極地方の、永遠に日の当たらないクレーター内部に存在するといわれる水の氷の探査が目的。正午には100℃を超え、深夜には液体窒素よりも冷たくなるという月の過酷な環境を避けるため、月の1日に当たる29.5地球日の周期で月の極の周りを周回し、常に月の「朝」の中で行動する。走行速度は時速数キロメートル。2001年にはカナダの極地方で運用テストが実施される予定。
なお、この計画がこれまでの探査と大きく異なる点は、インターネット、テレビ局、さまざまな科学館などと強く連携し、一般人がその探査のようすにライブでふれられるようにする点だ。そして、大きな科学館にはローバーの「テレプレゼンス・チャンバー(コントロール室)」が設けられ、なんと一般の人がローバーに直接指令を出すことができる。資金は、スポンサー企業、テレビ局との独占放送契約、とあるインターネット・サイトからの資金、科学館の「テレプレゼンス・チャンバー」の利用料などの民間資金、および政府の宇宙局との契約により賄われることになる。すでに、アメリカ最大の電気機器小売業者であるRadioShack社がスポンサーとして名乗りを上げている。
ルナコープ社は1989年に設立され、民間による月面探査のための技術研究を行なってきた。
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