赤外線で見た銀河系中心
【2000年8月14日 2MASS】
「2MASS(Two Micron All Sky Survey=2ミクロン全天観測)」による画像と、中間赤外線で宇宙を観測する技術試験衛星「MSX(Midcourse Space Experiment=中間域宇宙試験衛星)」による画像を合成して得られた、銀河系中心の広視野・高解像度画像を紹介する。
我々の銀河系中心と地球との間には、莫大な量のチリやガスがあるため、可視光で銀河系中心を観測することはできない。可視光はチリやガスを透過しにくいためだ。しかし、赤外線であればチリやガスを透過しやすいため、可視光では見えない部分も見えてくる。
上は、2MASSによる画像とMSXによる画像を合成して得られた銀河系中心の姿だ。2MASSのJバンド(1.25ミクロン)を青、同じく2MASSのKsバンド(2.17ミクロン)を緑、そしてMSXのAバンド(6〜11ミクロン)を赤として、3色疑似カラー合成してある。銀河面を中心に、縦2度、横5度の範囲をとらえている。画像の制作は、赤外線処理分析センター(Infrared Processing and Analysis Center; IPAC)のE. Kopan氏による。
中央付近の明るい黄色の部分が銀河系中心。2MASSによる近赤外線領域には、可視光ではとらえられない低温の星や、銀河系中心の深部にあるひじょうに多くの星たちがとらえられている。また、MSXによる中間赤外線領域には、星たちからの放射に加え、冷たいチリやガスからの放射もとらえられている。ところどころに黒っぽい領域があるが、この領域はチリやガスが濃いため、2MASSやMSXでも観測できない領域だ。
高解像度画像はリンク先を参照。最大解像度版は、11.6MBもある。
画像提供: 2MASS / IPAC