マーズ・グローバル・サーベイヤーによる最新画像2件

【2000年8月14日 マーズ・グローバル・サーベイヤー・ウェブサイト

NASAの火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤー(MGS)による最新画像を2件紹介する。


火星北極付近の初春の砂丘

MGS MOC Release No. MOC2-247 (2000/7/26)

火星北半球に再び春が訪れている。北半球の春は2000年6月に始まり、7月末現在では北極冠のほぼ全域に陽が当たるようになった。これはMGSが火星を周回探査するようになってから2度目の春だ。

7月22日に撮影された北極冠の一角の砂丘地帯

(→画像1) 7月22日に撮影された北極冠の一角の砂丘地帯。まだ霜(二酸化炭素の氷)に覆われているが、霜は徐々に昇華しており、その下に隠されていた地表が露出しようとしている。北緯78度・西経108度付近。写っている範囲は幅2.3km・長さ7.7km。太陽光は左下から当たっている。


画像1の一部の拡大図

(→画像2) 画像1の一部の拡大図。黒っぽい地点が散在しているのがわかる。これらの黒っぽい地点は、霜が溶け去って地表が露出している地点だ。やがて夏になると霜は完全に無くなり、全域が黒っぽく見えるようになるだろう。


偶然得られた素晴らしい1コマ

MGS MOC Release No. MOC2-248 (2000/8/1)

MGSが撮影する画像のほとんどは、慎重に計画されたものだ。しかし、MGSが地球と直接交信できる位置にいる場合は、撮影した画像を次々に地球に送ることができるため、計画外の撮影もいくつか試みられる。そういった予定外の撮影から偶然、素晴らしい画像が得られることがある。画像3は、その良い例だ。

「Sirenum Fossae」の一角

(→画像3) 「Sirenum Fossae」の一角を無作為に撮影した高解像度画像。溝とそれに隣接するクレーターを見事な構図でとらえている。MGSによる高解像度画像が1回の撮影でカバーする範囲は、幅1.1km・長さ2.3kmに過ぎず、さらに、MGSの軌道の予測や撮影目標を選定するための地図には、わずかに不確かな要素があるため、これほど良い構図での撮影は、狙って行なってもひじょうに難しい。南緯31.2度、西経152.3度付近。2000年7月23日の撮影。太陽光は左上から当たっている。


画像3と一緒に撮影された広域画像

(→画像4) 画像3と一緒に撮影された広域画像。ここではわかりにくいが、中央やや左の小さな白い四角が、画像3にとらえられている領域を示す。


高解像度画像はそれぞれのリンク先を参照。

画像提供:  NASA / JPL / Malin Space Science Systems