宇宙エレベーターがいつか実現?
【2000年9月8日 NASA Space Science News (2000.9.7)】
「みなさん、NASAの《ミレニアム-2宇宙エレベーター》へのご搭乗、ありがとうございます。このエレベーターはまず月軌道のプラットフォームに停車し、その後《ニュー・フロンティア宇宙コロニー》団地に向かいます。乗車時間はおよそ5時間です。どうぞお座りになって窓からの景色をお楽しみください。上昇するにつれて、地平線はだんだん丸くなり、空は紺碧から漆黒へと変わってゆきます。きっとみなさんが見てきた中でも格別の光景となるでしょう。」
まるでSF番組か、小説『楽園の泉(Fountains of Paradise)』(アーサー・C・クラーク作)のような話だが、これは架空の話ではない。この「宇宙エレベーター」は、21世紀の長距離宇宙交通の手段として、研究者の間でまじめに検討されているのである。
NASAのマーシャル宇宙飛行センター・先端計画室のDavid Smitherman氏は、『宇宙エレベーター 〜 新千世紀のための地球と宇宙を結ぶ先端交通インフラ 〜 (Space Elevators: An Advanced Earth-Space Infrastructure for the New Millennium)』と題された資料を公開した。これは、昨年マーシャル宇宙センターで開催された、宇宙インフラに関するカンファレンスにおいて発表されたさまざまな研究成果を編集してまとめたものだ。
「これはもう、SFの話ではないのです。」Smitherman氏は語る。「私たちが行なった研究により、それは充分に実現可能らしいということがわかりました。」
宇宙エレベーターは本質的には、地球から宇宙にのびる、長大なケーブルで、高度35,786kmの静止衛星軌道に重心を持つ。そしてそのケーブルを伝って走る電磁移動機は、地球と宇宙を結ぶ大規模輸送システムとして活用でき、またケーブルは地球〜宇宙間の電力送信にも用いることができるというものだ。