土星最大の衛星「タイタン」には地球に似た雲がある?
【2000年10月23日 SPACEFLIGHT NOW (2000.10.23)】
北アリゾナ大学・物理天文学部の助教授Caitlin A. Griffith氏を中心とするチームが、土星最大の衛星「タイタン」に日常的にメタンの雲が発生していることを突き止め、10月20日発売の科学誌『Science』で発表した。
Griffith氏によるとタイタンの雲は常に一定の大気高度に見られ、タイタン全表面の1%未満の面積を覆っており、雲を漂わせているエネルギー源は気体が液化した際の潜熱であると考えられるという。そして短期間のみ存在するそれらの雲が消滅する際には、雨を降らせているかもしれないそうだ。また、きわめて稀に――おそらく年に1度程度――タイタン全表面を1日から2日にわたって雲が覆う日があるが、なぜそのような現象が起こり得るのかについては不明という。
地球の原始大気にも似た厚いメタンの大気を持つタイタンには、雨が降り、海が存在しているかもしれないという可能性も指摘されており、天文学者の関心は高い。今回の発見は、海の存在の可能性をふくらませるものだ。
タイタンについて現在わかっている事実はわずかであり、海の存在する可能性もあくまで仮定にすぎないが、2004年末には土星探査機「カッシーニ」が土星系に到着し、カッシーニに搭載されている小型探査機「ホイヘンス」がタイタンに降下して大気を調べることになっており、重要な成果が得られることが期待される。