土星に4個の新衛星

【2000年10月26日 国立天文台ニュース(388)

土星に新たに4個の衛星が発見されました。

コート・ダジュール天文台のグラッドマン(Gradman,B)たちは、8月7日に、ヨーロッパ宇宙機構(ESA)の口径2.2メートル反射望遠鏡による観測で、土星本体から0.7度および0.5度離れたところに、それぞれ22.0等、21.5等の二つの衛星を発見しました。 この発見は9月23日以降の各地の観測で確認されました。 この確認の際、ハワイ、マウナケア山にある口径3.6メートルのカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡で、グラッドマンたちはさらに2個の新衛星を発見しました。 これらは20.1等、22.4等で、それぞれ土星本体から0.4度および0.3度離れていました。 この2個の新衛星も、引き続く数日の観測で再確認されています。 これらの新衛星は、順にS/2000 S1、S/2000 S2、S/2000 S3、S/2000 S4と認識符号が付けられました。 軌道が確定すれば、いずれ固有名がつけられると思われます。

土星には1981年までに、ボイジャー1号、ボイジャー2号による発見を含めて18個の衛星が発見され、これらはすべて命名されています。 その後1995年に土星環が消失した際の観測で、数個の衛星の発見が報じられました。 しかし、軌道が確定しなかったり、確認ができなかったりして、確実な発見とはなっていません。 今回の発見がそれらの再発見であるかどうかは、現在のところはっきりしていません。

土星は現在、発見された衛星を引き連れて「おうし座」を逆行中です。 夕方に暗くなると東の空に見えて、いまは土星はたいへん見やすい状況です。 新発見の衛星はたいへん暗いものですから望遠鏡を使っても直接見ることはできませんが、有名な土星の環なら比較的小さい望遠鏡でも見ることができます。 見たことのない方は一度ご覧になったらいかがでしょうか。

参照IAUC 7512(Oct.25,2000).
IAUC 7513(Oct.25,2000).