ケック-II望遠鏡がとらえた海王星、天王星の環
【2000年10月31日 UC Berkeley Press Release (2000.10.25)】
アメリカのカリフォルニア大学バークリー校、ローレンスリバーモア国立研究所(LLNL)、カリフォルニア工科大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の天文学者からなる研究チームが、ハワイ・マウナケア山頂の10メートル望遠鏡「ケック-II」と、ケック-IIに新たに導入された補償光学系を用い、海王星の詳細な模様や、天王星の淡い環を撮影することに成功した。
補償光学系とは、大気の揺らぎの影響による画質の低下を軽減して、ひじょうにシャープな像を得ることのできる、比較的新しい技術。同じくマウナケア山頂にある日本の8.2メートルの「すばる望遠鏡」にも搭載されている。
海王星
ケック-II望遠鏡と新搭載された補償光学系により、波長2ミクロンの赤外線で撮影された海王星。
明るい帯は大気上層部のメタンの雲。地上望遠鏡による観測としてはこれまでで最高画質の画像だ。上部の黒い縞は、観測装置の細いスリットで、このスリットを通った光は化学組成を分析するための分光計に届けられている。
2000年6月17日の撮影。
Image credit: Imke de Pater / UC Berkeley
天王星の淡い環
ケック-II望遠鏡と新搭載された補償光学系により、波長2ミクロンの赤外線で撮影された天王星。
外側に明るい環 (イプシロン・リング) があり、その内側に3本の淡い環があるのがわかる。イプシロン・リング以外の淡い環が地上望遠鏡によりとらえられたのは今回が初めてだ。それぞれのリングは実はそれぞれ複数の環でできているのだが、この画像からはほとんどわからない。NASAの外惑星探査機「ボイジャー2号」の観測では、11本のリングが発見されている。
惑星本体は、南極冠をメタンの雲が覆っているようすがよくわかる。さらに、北半球に散在する小さな雲もわかる。
2000年6月18日の撮影。惑星本体は環に比べてはるかに明るいため、この画像では惑星本体の部分の明るさをおよそ20分の1にしてある。
Image credit: Imke de Pater / UC Berkeley