ロシア政府、ミールの来年2月の廃棄を決定
【2000年11月17日 Russia plans for Mir's destruction(FLORIDA TODAY Space Online / Interfax News Agency 2000.11.17) / Dennis Tito Says It's 'Highly Likely' He Will Go to the ISS In April 2001 (space.com, 2000.11.16)
ロシア政府は11月16日、同国の宇宙ステーション「ミール」を、来年2月に廃棄する方針を正式に決定した。ロシア宇宙庁のYuri Koptev長官によると、ミールは2001年2月27日または28日に、オーストラリアから1500キロメートル〜2000キロメートル離れた太平洋上で地球大気圏に突入させられるという。ミールは巨大なため燃え尽きず、破片が広い範囲の地表に落下すると考えられるため、廃棄には綿密な計画が必要。
ソビエト連邦の時代から飛行を続けるミールは、ソ連そしてロシアの宇宙開発の栄光の象徴であるが、すでに築14年を迎えて老朽化が問題視されていた。また、ロシアがミールに対して資金をつぎ込むことが国際宇宙ステーション (ISS) 計画の遅れの原因になっているとして、NASAは長期にわたってロシアに対しミールを早期に廃棄し、ISS計画に専念するよう勧告しつづけてきた。
ロシアの資金難から、ミールは2000年前半にも廃棄される見通しとなっていたが、1999年末になってオランダに本社を置く国際ベンチャー企業「ミールコープ社」が設立され、ミール維持のための資金を提供したことから、飛行が継続されることになった。
ミールコープ社は民間人の宇宙観光旅行などの事業より資金を集め、2001年以降もミールの運行を続けることを公言していた。そしてアメリカの実業家デニス・ティトー氏が世界初の宇宙観光旅行者としてミールを訪れることが決まり、またアメリカのテレビ局がミール旅行を賞品としたテレビ番組を企画するなどしたが、これらにより得られる資金はミール維持のための資金のうち、わずかにしかならなかった。
なお、ミール旅行の夢を絶たれたデニス・ティトー氏であるが、アメリカのspace.comのインタビューに答え、「私がミールに行く可能性は1%未満であると思うが、その代わり (2001年の) 4月30日に国際宇宙ステーションに向けて飛び立つ可能性はとても高いと考えている。」と語っている。
ティトー氏は、約2000万ドルに上るミール旅行の旅費のうちの一部を既に支払い済みで、ロシアでの訓練費とロシアへの滞在費だけでも既に100万ドル近くを費やしている。