地球に生命がもたらされた時期は定説より早い?
【2001年1月12日 SPACE.com (2001. 1.10)】
新たな研究により、地球は44億年前には海や大陸を持てるほどにまで冷えていたらしいということがわかった。これにより、地球に生命がもたらされた時期は、定説より数億年早まる可能性がある。さらに、月が形成された時期についての定説も変わるかもしれない。
ウイスコンシン大学のJohn Valley教授 (地質学・地球物理学) らの国際研究チームは、低温環境下で形成されたと考えられる岩の研究から、地球の表面温度は、現在よりおよそ44億年前、つまり形成されてから約1億年後には、水の沸点であるセ氏100度以下にまで冷えていたらしいという証拠を得た。
この研究成果は、1月11日発行の科学誌『Nature』に報告されている。
以前に知られている中では、地球に液体の水が存在できる環境があったという最古の証拠は、約38億年前に形成されたと考えられる岩であり、最古の微生物の化石は、約35億年前に形成されたと考えられる岩に見つかっている。
また、今回の成果は、月の形成に関する定説にも見なおしを迫るかもしれない。定説では、月はおよそ44億5000万年前、地球に火星ほどの大きさの天体が衝突し、その際に撒き散らされた破片が集まった結果、形成されたとされている。しかし、44億年前という早い時期に地球が低温であったということは、この説に矛盾するものである。Valley教授は、月はもっと早い時期に形成されたか、またはまったく別のプロセスにより形成されたのかもしれないと指摘している。