次回の月食
【2001年1月18日 国立天文台・天文ニュース (410)】
この1月10日未明に皆既月食がありました。悪天候のため、日本で現実に観測できたところは少なかったようですが、ユーラシア、アフリカ大陸の各地からは、写真を交え、観測されたことが伝えられました。
この月食に関連して、次回の月食がいつになるかが報道され、その期日がマスコミによってまちまちであったことから、10日に、国立天文台に問い合わせが殺到しました。これは、あらかじめの問い合わせに対し、当広報普及室からの回答に十分意を尽くさない点があったことにもよりますが、問い合わせの方が、質問を簡単に考え過ぎていることにもよっています。
月食には皆既月食もあれば部分月食もあります。日本で見える月食も日本で見えない月食もあります。日本の一部の地域だけで見える月食もあります。これをどう考えるかによって「次の月食」の期日が変わります。そのへんを十分に理解せず、ただ「次の月食はいつか」と単純に考えてしまうと、誤解を生む原因になります。
今後の月食は、つぎのように起こります。
- 2001年 7月 5日〜6日にかけて部分月食。日本で見え、約50%欠ける。
- 2003年 5月16日、皆既月食。日本では見えない。
- 2003年11月 9日、皆既月食。日本では見えない。
- 2004年 5月 5日、皆既月食。西日本だけで皆既が見られる。
- 2004年10月28日、皆既月食。日本では見えない。
- 2005年10月17日、部分月食。日本で見えるが、ほんの僅か (7%) 欠けるだけ。
- 2006年 9月 8日、部分月食。日本で見え、19%欠ける。
- 2007年 3月 4日、皆既月食。日本では部分食の始まりだけ見える。
- 2007年 8月28日、皆既月食。日本全国で見える。
したがって、日本で見える皆既月食にしても、全国で見えるという条件なら2007年8月28日まで待たなくてはなりませんが、どこかで見えればいいのなら、2004年5月5日になります。とにかく、条件をはっきりさせない限り、前回はいつか、次回はいつかと質問は、あまり意味がないように思います。これは月食に限らず、どんな天文現象でも同様です。
<参照>
- Espenak,F., Fifty Year Canon of Lunar Eclipses 1986-2035(1989).