火星隕石から火星に最近水が流れたという証拠見つかる
【2001年1月29日 BBC News (2001.01.24)】
約1億7500万年前の火星に由来する溶岩質の「Shergotty火星隕石」から、火星では比較的最近に液体の水があふれ出たかもしれないという説を支持する証拠が見つかった。
NASAの火星探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」がとらえた火星表面の画像には、液体の水によって侵食されてできたと考えられる峡谷などが多く見られることから、過去の火星は温かく、充分に厚い大気に覆われ、豊富な水があったと有力視されている。もしかしたら、海洋さえ存在したかもしれない。
それらの水は、火星の熱い地下深くからマグマによって地表に運ばれたものだと考えられている。しかし、この説にはひとつの問題があった。火星起源の溶岩質の隕石は、水分に乏しいのだ。
しかし、Harry McSween氏 (テネシー大学) らの研究チームは、それらの溶岩質の隕石を研究したこれまでの研究が誤っているのではないかと考えた。そして、溶岩質の「Shergotty火星隕石」が、火星表面に由来する隕石に比べ、水溶性の鉱分を多量に含むということを発見した。
研究チームは、「Shergotty火星隕石」の起源となったマグマは、地下深くから上昇をはじめる際には、1.8%という豊富な水分を含んでいたはずだと結論している。これは、考えられていたよりもずっと多い。マグマの上昇の過程で、水分はマグマ本体から蒸発して別の経路を辿って地表に達したと考えられ、このことが溶岩質の火星隕石に水分が乏しい理由なのだという。
そして、この火星隕石の形成年代であるおよそ1億7500万年前――地質学的な視点では最近にあたる――には、この隕石の起源となったマグマから蒸発した多量の水が地表にあふれ出だし、地表に侵食地形を刻んだと考えられるということだ。
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