やや明るいクロイツ群の彗星
【2001年2月13日 国立天文台・天文ニュース (415) (2001.02.08)】
比較的に明るいクロイツ群の彗星が発見されました。
太陽観測宇宙天文台ソーホー (Solar and Heliospheric Observatory; SOHO) は、そのコロナグラフによって、太陽に接近して明るく輝く多数の彗星を発見してきました。その多くは、太陽の表面をほとんどかすめるように通過するいくつもの彗星で、クロイツ群の彗星とよばれています。この群の彗星で有名なものに、1965年秋に長い尾をたなびかせて明け方の空に現れた「池谷・関彗星」があります。
今年になってからもソーホーは、これまでに、C/2001 A3、C/2001 A4、C/2001 B3と3個の彗星を発見しています。こうした彗星の多くは、太陽から離れるにしたがって急速に暗くなり、地上からの通常の観測をすることができません。しかし、中には、比較的明るさが持続して、地上から観測ができる場合もあります。また、ときにはソーホーがクロイツ群に属さない彗星を発見することもあります。
今回2月6日に新たに発見されたソーホー彗星は、クロイツ群に属するものですが、比較的明るく、2月7日には4等と観測され、C/2001 C2 (SOHO) の認識符号が付けられました。
これまでの観測から求められたこの彗星の暫定放物線軌道要素は、
近日点通過時刻 = 2001 Feb. 7.92 TT 近日点引数 = 87゜.45 昇交点黄経 = 8゜.79 (2000.0) 近日点距離 = 0.0049 AU 軌道傾斜角 = 144゜.80
です。近日点距離の0.0049天文単位は、太陽表面からの距離2万キロメートル足らずに相当します。
見かけ上の位置が太陽のすぐ近くですから、現在この彗星を地上から観測することはできません。もし、太陽からある程度離れてもそれほど暗くならなければ、地上から通常の望遠鏡で観測できるかもしれません。
<参照>
- IAUC 7580 (Feb.7,2001)
- MPEC 2001-C09 (Feb.6,2001)