老齢の褐色矮星に似た天体の発見
【2001年2月13日 Royal Astronomical Society Press Notice (2001.02.08)】
アメリカ・アリゾナ州の惑星科学研究所において天体物理学グループ長を務めるSteve B. Howell博士らは、ハワイ島マウナケア山頂に設置された口径3.8メートルのイギリス赤外線望遠鏡を用いた観測から、新種の星を2例発見した。これらの星は、一見は褐色矮星のような特徴を持っているが、その正体はひじょうに古い恒星のなれの果てである。これらの星は、白色矮星を主星とする2連星の伴星であり、何十億年もの永きにわたって白色矮星にガスを吸収され続けた結果、褐色矮星のような低温・低質量の天体となったと考えられる。
今回これらの天体が発見されたのは、「アンドロメダ座LL」星系と「エリダヌス座EF」星系の2つ。「アンドロメダ座LL」に発見されたものは、1300ケルビンほどの表面温度であり、これはメタンを多く含む「T型褐色矮星」と似ている。また、「エリダヌス座EF」に発見されたものは、1650ケルビンほどの表面温度であり、「L型褐色矮星」に似ている。質量はともに木星質量の40倍程度、年齢はともに80億歳程度と見積もられている。
今回発見されたような天体の存在は、Howell博士など数名の天文学者により予言されていたが、実際に発見されたのは初めてのことだ。
この研究成果は、『Astrophysical Journal Letters』誌にて報告される。
なお、褐色矮星とは恒星と同じ過程で生成されながら、充分な質量に達しなかったために恒星となれなかった低温・低質量の天体である。また、白色矮星とは、寿命を終えた中質量の恒星の核の部分であり、ひじょうに高密度の天体である。