ISS初の実験棟デスティニー取り付け成功

【2001年2月14日 NASAステータスリポート (NASDA訳) #5〜#11 (2001.02.09〜2001.02.12)

アメリカ時間2月7日夕方 (日本時間2月8日昼) に打ち上げられたスペースシャトル・アトランティス号 (STS-98/国際宇宙ステーション組み立てフライト5A) は、飛行3日目のアメリカ中部標準時間2月9日10時51分 (日本時間2月10日午前1時51分)、国際宇宙ステーション (ISS) にドッキングした。この日はその後、シャトル・ISS間のハッチが開かれて、ISSに滞在中だった第1次滞在クルー3名とシャトルの乗員の共同により、補給品の搬入作業が行なわれた。

飛行4日目のアメリカ時間10日にはISS初の実験棟「デスティニー」(アメリカ製) の取り付け作業が行なわれた。「デスティニー」は、バスほどの大きさで、重さは16トンもある。

取り付け作業に先駆け、ロシアの宇宙機の小さな破片がISSの250m以内を通過する可能性が警告されていたため、それを避けるためにシャトルのエンジン噴射によりISS・シャトルの軌道を約1.6キロメートル上昇させた。

取り付け作業は、トム・ジョーンズ、ボブ・カービーム両宇宙飛行士による船外活動 (EVA) とマーシャ・アイビンス宇宙飛行士の操作によるロボットアームとの協力により進められた。

「デスティニー」の取り付け予定場所には、ドッキングポートである与圧結合アダプターPMA-2が設置されていたため、まずはロボットアームによりPMA-2が取り外され、「Z1トラス」の仮置き場に移設された。続いてロボットアームにより「デスティニー」がシャトルの格納庫から取り出されて定位置に移動され、固定された。EVAの2名は一連のロボットアームの作業を目視確認しながらサポートし、「デスティニー」が固定された後に各種配管作業を行なった。

EVAの終了後、ISSの第1次滞在クルーや地上の管制室の手により、「デスティニー」の各種システムの起動作業が行なわれた。

飛行5日目のアメリカ中部標準時間11日午前8時38分 (日本時間11日午後11時38分)、「デスティニー」につながるハッチが初めて開かれ、ISSの司令官ビル・シェパードとシャトルの司令官のケン・コックレルが最初に入室した。この日は一日中、シャトル・ISS双方の乗員の手により「デスティニー」内部の整備作業が行なわれた。

飛行6日目のアメリカ時間12日は、「Z1トラス」に仮置きしてあった「PMA-2」を、「デスティニー」の所定の位置に取り付ける作業が行なわれた。作業は10日と同様、トム・ジョーンズとボブ・カービーム両宇宙飛行士による今回のフライトで2回目のEVAとマーシャ・アイビンスの操作によるロボットアームとの共同により順調に進められた。定位置への取り付けを完了した「PMA-2」は、今後のシャトルのための主ドッキングポートとして使用される。

取り付けの完了後、2名のEVAクルーは「デスティニー」に対し、気圧調整システムへの排気口の取り付け、将来のEVAのためのワイヤやハンドレールなどの支援設備の取り付け、4月にシャトルで運ばれてくるISS用ロボットアームの基部の取り付けなどの作業を次々とこなした。作業が予定より早く終わったため、3回目のEVAで予定されていた作業の一部 (PMA-2〜デスティニー間の配線など) も行なわれた。

EVAの途中、地上の管制室からのコマンドにより、「Z1トラス」に装備されている大型のジャイロスコープが起動された。これは、大きな円盤を高速回転させることにより姿勢を制御する装置で、「デスティニー」から制御される。13日までテスト運用され、その後は定常運用に移る。これまでISSは推進剤を消費するスラスター (小型推進器) により姿勢制御されてきたが、電力で動くジャイロスコープが使用可能になったことにより、貴重な推進剤を大幅に節約することができる。

飛行8日目のアメリカ時間14日には、今回のフライトで最後となる3回目のEVAが予定されている。これは、アメリカ史上100回目、シャトル史上60回目のEVAとなる。

アトランティス号は、飛行10日目のアメリカ時間16日にISSから分離し、飛行12日目のアメリカ時間18日に地球に帰還する予定。

<リンク>

<関連ニュース>