ブラックホールが無ければ銀河も存在し得ない

【2001年2月19日 ミシガン大学ニュースリリース (2001.02.13)

アメリカ・ミシガン大学の天文学教授Douglas Richstone氏らの研究により、銀河と銀河中心ブラックホールはひじょうに密接に関連しており、銀河中心ブラックホール無しに銀河が存在することはほとんど不可能であるらしいことが明らかになった。

Richstone教授らの研究チームは、過去10年間に30個の渦巻き銀河を調査し、うち29個の銀河中心に巨大ブラックホールらしき天体が存在する証拠を得、またその質量を見積もることにも成功した。その結果、銀河の中心付近の質量と、銀河中心ブラックホールの質量に深い相関関係があることが判明した。

Richstone教授によると、銀河中心ブラックホールの形成と誕生の過程で発せられる強いエネルギー放射と高エネルギー粒子は、原始銀河に含まれる星の原料となるガスにとって、主要な熱源であり運動エネルギー源であった。そして初期の銀河において、銀河中心ブラックホールと恒星は、競い合うようにしてガスを獲得し合い、お互い成長したと考えられる。また、銀河中心ブラックホールからのエネルギー放射は、銀河の生涯全体を通じて、銀河全体からの放射に匹敵する。したがって銀河中心ブラックホール抜きに星生成や銀河の進化の歴史を論ずることは出来ないということだ。

また、他の研究が明らかにしたところによると、クエーサーは、ほとんどの星生成銀河よりも早い時期に既に生まれていた。クエーサーとは、ひじょうに遠方にあって狭い範囲から莫大なエネルギー放出を行なっている天体で、初期の銀河の中心核と考えられている。

Richstone教授によると、銀河中心の巨大ブラックホールはそのクエーサーの名残りであり、したがって、クエーサーが存在した時代、つまり宇宙がおよそ10億歳ほどであったころには、既に銀河中心ブラックホールは存在していたはずだという。

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