ヘール・ボップ彗星、今も活発に活動中 ESOの2.2m望遠鏡が撮影
【2001年3月6日 ESO Press Photos 07a-b/01 (2001.03.06)】
1997年初旬に地球・太陽に接近した20世紀最大の大彗星「ヘール・ボップ彗星」(C/1995 O1) は、今や太陽からおよそ20億キロメートルの彼方にある。これは、地球〜太陽間距離の約13倍であり、太陽〜土星間距離よりも遠い。しかし、現在も口径15cmクラスの望遠鏡+冷却CCDカメラで充分観測可能な14.5等ほどの明るさで南半球の空に健在だ。
上の画像は、ヨーロッパ南天天文台 (ESO) ・ラシーヤ観測所の「MPG/ESO 2.2メートル望遠鏡」が2001年2月27日〜3月2日の3夜にわたって撮影したヘール・ボップ彗星の姿。左は、3色合成カラー画像で、視野角はおよそ横5.1×縦3.5分角 (1分角=60分の1度) 。右は、赤画像のみを用い、淡い構造がわかりやすいように処理したモノクロ画像で、視野角はおよそ6分角四方。
ぼうっと広がる大きなコマがとらえられており、太陽から遠く離れた現在でも活発にガス放出を続けていることがわかる。左上方向に向かって扇状に延びる尾は、少なくとも200万キロメートルに達する長さがある。これは、地球〜月間距離の5倍ほどの距離である。
コマには、核の部分から曲がって延びるジェット状の構造もとらえられているが、この構造は、3夜を通じて変化が見られなかった。
これだけの遠距離にありながら活発な活動を続けていることは異常で、ESOなどの天文学者らは、可能な限り長期間、ヘールボップ彗星の観測を続け、活動の推移を見守るつもりだ。もしかしたら、今後数十年は観測が可能かもしれない。
なお、上の画像は3夜の観測画像を彗星を基準に合成したもので、撮影の間に彗星が移動したため、星が3つの点々に連なったようになっている。また、左のカラー画像の恒星が色ずれしたように見えているのは、3種のカラーフィルターで撮影時間がずれており、その間に彗星が移動したため。
Image credit: ESO