太古の火星において、火山活動が氷を溶かし水を生んだかもしれない
【2001年3月15日 University at Buffalo News (2001.03.12)】
アメリカのニューヨーク州立バッファロー大学のTracy Gregg助教授 (地質学) らによる予備的な研究により、太古の火星において火山活動が地表の氷を溶かし、生命の誕生と進化に必要な水を提供したかもしれないということがわかった。これは、かつて火星に生命が存在した可能性を高める新たな証拠である。
Gregg助教授によると、火星で最も古いとされる2つの火山「Tyrrhena Patera」「Hadriaca Patera」の周辺には水路の跡と考えられる地形が密集しているが、それらの地形は、火山の熱で溶けた氷が液体の水となって火山の斜面を下りながら地表を削った結果、形成された可能性があるという。
またGregg助教授は、火山活動は、生命活動のための熱やさまざまな重要な元素の供給源でもあったとも指摘している。
そしてGregg助教授は、この2つの火山の周辺に存在する水路跡は、火星の他のどの火山の周辺よりも多いため、これら2つの火山は死火山ではなく現在も活動を続けているのではないかとも考えている。
この研究は、現在火星を周回中のNASAの探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー (MGS)」により得られた、高解像度画像や詳細な地表の起伏データを用いて行なわれた。また、研究資金はNASAが提供している。