銀河系は水分子でいっぱい 赤外線天文衛星ISOの観測で判明
【2001年4月17日 ESA Science (2001.04.11)】
ヨーロッパ宇宙機間 (ESA) の赤外線天文衛星ISOの観測により、冷たい星間分子雲に含まれる水分子の量がはじめて明らかになった。研究チームが調べた平均温度がマイナス263℃の星間分子雲においては、水分子は、水素分子、酸素分子に次いで3番目に豊富な分子であったという。
オリオン大星雲など、巨星を含む温かい星間分子雲に関しては、水分子が豊富に存在することが4年前に明らかになっていた (同じくISOの観測による)。今回、冷たい星間分子雲にも、温かい星間分子雲と同程度の水分子が含まれることが明らかになった。水分子は、冷たい分子雲の中にはあまり含まれないと考えられていただけに、この結果は驚くべきものだった。このことは、宇宙における水分子の生成・貯蔵プロセスに関して再考を迫るものである。
なお、冷たい星間分子雲では、水分子はほとんど放射を放たないため、直接検出することは困難だ。今回研究チームは、星間分子雲の背後にある星からの光を分析し、水分子による吸収線を調べることで、冷たい星間分子雲に含まれる水分子の量を測定することにはじめて成功した。
星間分子雲は、やがては恒星や惑星の原料となる。われわれの銀河系には、何百万個もの星間分子雲があると推定されている。