馬頭星雲=HST打ち上げ11周年記念画像

【2001年4月26日 STScI-PRC01-12 (2001.04.24)

ハッブル宇宙望遠鏡 (HST) の打ち上げ11周年を記念して、HSTが撮像した「馬頭星雲」の画像が公開された。HSTは1990年4月24日 (アメリカ時間) にスペースシャトル・ディスカバリー号により打ち上げられ、翌4月25日 (アメリカ時間) に軌道に投入された。

HSTがとらえた馬頭星雲
HSTがとらえた馬頭星雲
Image Credit: NASA, NOAO, ESA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)
Acknowledgment: K. Noll (Hubble Heritage PI/STScI), C. Luginbuhl (USNO), F. Hamilton (Hubble Heritage/STScI)

地上望遠鏡による馬頭星雲

地上望遠鏡による馬頭星雲 キットピーク天文台の0.9メートル望遠鏡による。高解像度画像は、NOAO Image Release 01-01を参照。
Credit: T.A. Rector (NOAO/AURA/NSF) and Hubble Heritage Team (STScI/AURA/NASA)

オリオン座の三ツ星のひとつ「オリオン座ゼータ星」のすぐ南にある「馬頭星雲」は、天体写真ファンにとても人気の高い天体だ。事実、今回の撮影は、インターネット上で撮影対象天体を公募して行なわれたもので、5000票以上の投票のうち、馬頭星雲は圧倒的なトップだったという。

その名のとおりまさに馬の頭――タツノオトシゴ (英語で sea horse つまり海馬) の頭といったほうがより近いが―― のように見えるこの星雲は、暗黒星雲「バーナード33」が、散光星雲「IC434」を背後にして浮き上がって見えているものだ。

暗黒星雲は、冷たいガスやチリが濃く集まった領域で、新たな星が誕生するゆりかごである。馬頭星雲でも星が次々に生まれつつあり、画像上部左側の明るい部分は、そこに生まれたばかりの恒星が潜んでいるために明るくなっている。

2000年8月・9月、2001年1月・2月、HSTの広視野/惑星カメラ2による撮像。総露光時間は4.6時間。横幅約2.2光年の領域をとらえている。なお、HSTの生画像はこの画像の視野全域をカバーしておらず、周辺部に一部穴があった。そこでハッブル・ヘリテージ。チームでは、キットピーク天文台の0.9メートル望遠鏡により得られた画像を用いてその穴を埋め、この画像を完成させた。