ある太陽系外惑星の非情な運命

【2001年5月10日 ESO Press Release 10/01 (2001.05.09)

ヨーロッパ南天天文台 (ESO) の8.2メートル望遠鏡「VLT KUEYEN」を用いた観測により、恒星が惑星を飲み込んだ痕跡がはじめて発見された。この研究はスイスおよびスペインの研究チームによるもので、2001年5月10日発行の科学誌『Nature』に詳細が掲載される。

研究チームは「VLT KUEYEN」を用いたスペクトル観測から、「うみへび座」の恒星HD82943 (少なくとも2つの大型惑星を持つことで知られる、金属を豊富に含む太陽に似た恒星) に、希少な同位体であるリチウム6を検出した。

より安定で豊富な同位体であるリチウム7とは異なり、リチウム6はもろく、金属を豊富に含むような恒星においては、恒星の形成初期において破壊されつくしてしまう。したがって検出されたリチウム6は、最近になって恒星に追加されたものであると考えられる。

そして研究チームでは、このリチウム6は、HD82943がその惑星を飲み込んだ際に恒星の大気中にばらまかれたものであると考えている。研究チームの推算では、この恒星が、木星の2倍程度の質量の大型ガス惑星、もしくは地球の3倍程度の質量の地球型岩石惑星を飲み込んだとすれば、この恒星に含まれるリチウム6の存在量を説明できるということだ。