C/2001 A2 リニア彗星のイオンテイルの詳細画像

【2001年5月21日 アストロアーツ】

核が3つに分裂したことで話題の「C/2001 A2 リニア彗星」。明るさは5等級と肉眼等級に達している。だが、残念ながら現在は「うさぎ座」にあって日本からは観測できない。そこで、オーストラリアのGordon Garradd氏による見事な画像を紹介する。

C/2001 A2 リニア彗星

この画像は、口径45センチメートルF5.4のニュートン式望遠鏡と冷却CCDカメラにより撮影 されたもの。各コマ40秒露光の7コマをつなぎ合わせて、コマから1.5度ほどまでのイオンテイルを詳細にとらえることに成功している。画像上が北。なお、10x50双眼鏡による眼視観測では、5度ほどの尾が確認できたという。

右下は、コマの周辺100秒角四方のクローズアップ。2つに分かれた核がはっきりとわかる。左がA核、右がB核。B核は、ヨーロッパ南天天文台 (ESO) の8.2メートルVLT望遠鏡の5月16日の観測により、さらに2つに分裂したことがわかっているが、まだ離角が小さすぎるため、この画像ではさすがに分離できていない。

リニア彗星 (C/2001 A2) は、5月25日に近日点を通過後、6月下旬から日本でも明け方の東の空で見えるようになる。そのときの明るさは、全く予想がつかない。昨年のリニア彗星 (C/1999 S4) のように近日点通過時にすっかりバラバラになって消滅してしまう可能性もある。だが、この見事な画像を見ると、日本の空にも肉眼等級を維持したまま現われてくれるのではないかという期待が沸いてくる。リニア彗星の動向を見守りつつ、日本の空への出現を待ちたい。

なお、Gordon Garradd氏は、今後もこのリニア彗星 (C/2001 A2) の撮影を鋭意行っていくということなので、ぜひ氏のウェッブサイトをチェックしてほしい。

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