M33銀河には銀河中心ブラックホールが存在しない!?

【2001年7月24日 ラトガーズ大学プレスリリース (2001.07.23)

アメリカ、ラトガーズ大学 (Rutgers University) の研究チームにより、銀河系から近い銀河のひとつとして知られる「M33銀河」(「さんかく座」の方向約300万光年) には、銀河中心ブラックホールが存在しないかもしれないということが明らかになった。一般に銀河の中心には太陽質量の100万倍〜10億倍の質量を持つ巨大ブラックホールが存在することが知られているが、それを持たない可能性のある銀河が発見されたのは今回が初めて。

同大学のDavid Merritt教授を代表とする研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡 (HST) を用いてM33銀河を高解像度観測した。その結果、M33銀河には銀河中心ブラックホールが存在しないか、もし存在したとしても太陽質量の3000倍以下の質量であるという結論に達した。

研究チームでは、M33に銀河中心ブラックホールが存在するかどうかを確認するため、HSTによる追加の観測を目指している。もし存在しないことが確認されれば、初の銀河中心ブラックホールを持たない銀河の発見となる。存在することが確認された場合でも、最小の銀河中心ブラックホールの発見となり、いずれにせよ重要な成果となる。

なお、研究チームによる「No Supermassive Black Hole in M33?」と題された論文は、科学誌『Science』のオンライン速報ページ『Science Express』にて読むことができる (要ユーザー登録)。