光学望遠鏡による宇宙人探し
【2001年7月26日 SETI研究所ニュースリリース (2001.07.24)】
カリフォルニアの研究者チーム (カリフォルニア大学リック天文台、SETI研究所、カリフォルニア大学サンタフェ校、カリフォルニア大学バークレー校) が、本格的な光学式の地球外文明探査 (Search for Extra-Terrastrial Intetigence; SETI) プロジェクトに取り組んでいる。すでに300程度の恒星系と数個の星団の探査を終えており、今後も週1回以上の頻度で探査を続行することを目指している。光学式SETIはこれ以前にも限定的には行なわれてきていたが、大規模なものははじめてだ。
光学式SETIは、地球外文明が強力なレーザーを使った信号標識を設置しているという仮説をもとに、その光信号の検出を目指すものだ。SETI研究所のフランク・ドレイク博士によると、「光学式SETIの重要な利点の一つは、地球起源の信号に影響されないことだ」という。SETI@Homeプロジェクトなどで有名な電波を利用したSETIでは、地上や人工衛星を起源とする信号が大きな障害となっているが、光学式SETIにはそのような問題は存在しない。
地球外文明の設置するレーザー標識は、恒星に匹敵するほど明るいがきわめて短時間――10億分の1秒以下――のみ発光するものである可能性が高いと考えられている。したがって、その検出のためには大口径の望遠鏡と極めて高感度かつ高速な検出器が必要となる。だが、このような検出器はひじょうに敏感であるため、探査対象の星系の恒星からの光や宇宙線が大気に突入する際の発光などにより誤反応してしまうという欠点を持つ。これまで行なわれてきた光学式SETIでは、1日に1回程度という高頻度で誤反応が生じてしまっていた。誤反応が生じれば、確認のために反応が発生した対象を追跡観測する必要が生じるため、観測のペースが著しく遅くなってしまう。
この欠点を補うためには、複数のセンサーを持つ検出器を用いればよい。10億分の1秒という単位で見ると、恒星などからの光子はランダムにやってくるため、複数のセンサーが同時に反応する可能性は少ないが、強力なレーザーであればよく収束されているため、複数のセンサーが同時に反応するためだ。これまでの光学式SETIが1個ないし2個のセンサーを持つ検出器を用いていたのに対し、今回のプロジェクトでは3個のセンサーを持つ検出器を用いている。誤反応の発生は1年あたりわずか1回程度と見積もられている。
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