紫外線波長で HST が撮影した銀河にはリングが写っていた

【2001年11月5日 STScI Press Release(11 月 1 日)】

NGC 6782

HST が紫外線波長で撮影した銀河 NGC6782。中央にリングが見える(写真提供:NASA / The Hubble Heritage Team (STScI/AURA),謝辞:R. Windhorst (ASU))

銀河の見え方というのは、どの波長で観測するかによって大きく変わる。NASA の HST(ハッブル宇宙望遠鏡)が紫外線の波長で撮影した銀河 NGC6782 は、見え方が変わる様子を非常によく示している。この渦巻き銀河は、可視光で見れば他の多くの渦巻き銀河と同じようにきつく巻いた渦状構造が見えるが、紫外線で見るとびっくりするほど違うのだ。

可視光よりも波長の短い紫外線は、太陽よりもずっと熱い、生まれたばかりの星から放射される。この写真では青色のところが紫外線を放射しているところで、銀河の中心周りに円形の明るいリングが見える。つまりそこに生まれたての熱い星がたくさんあるということだ。

この写真には 2 本の渦状腕も見える。その腕に沿って、銀河の縁にも青い星が散らばっている。ここでも星が生まれているということだ。真中のリングは中央のバルジと星やダスト、ガスでできたバー構造を取り囲んでいる。

NGC6782 は 1 億 8000 万光年という比較的近いところにある。はるか遠いところにある銀河からの光は、宇宙の膨張のために波長が伸びて赤くなる(赤方偏移)。つまり、非常に遠いところにある銀河の可視光での写真を近くにある銀河の写真と比べたいと思ったら、近くの銀河の写真は紫外線の波長のものを使わなければならないということだ。こうした比較の結果、遠方の銀河の構造は近くのものとは違う傾向にあるということがわかった。銀河が時間とともに進化しているという証拠である。

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