ガンマ線が見えなかったガンマ線バーストの残光が初めて見つかった

【2001年11月16日 Fermi National Accelerator Laboratory(11 月 8 日)】

予告なしのガンマ線バーストの残光を可視光で観測した初めての結果がフェルミ加速器研究所の科学者たちによって発表された。この「独りぼっちの残光」は、強力な爆発現象であるガンマ線バーストの正体について提唱されているモデルのうちどれが正しいのかを判断する手助けをしてくれそうだ。

(SDSS に写っていたガンマ線バーストの残光の画像と、その光が弱くなっていくところ)

上:SDSS J124602.54+011318.8 の位置。スケールは 30 ミリ秒 下:1999.3.20, 1999.3.22, 2000.5.5 に撮影された画像の拡大図。スケールは 10 ミリ秒(写真提供:SDSS, D. E. Vanden Berk et al.)

ガンマ線バースト(以下 GRB)は数秒しか続かない現象だが、そのあと 1 週間ほど残光が見られる。これまで GRB はたくさん見つかってきたが、残光はほんの 20 例ほどしか観測されてなかった。それらの残光はすべて、衛星が GRB を観測して位置を測定し、その位置を地上の可視光望遠鏡で再観測したものだった。GRB そのものの観測がないのに残光だけが見つかったことはなかった。

この残光は宇宙の三次元地図を作ることを目的とした Sloan Digital Sky Survey によって 1999 年から 2000 年に得られたデータを細かく調べて発見された。地球からの距離はおよそ 60 億光年である。最も明るい超新星よりも 100 倍明るいことやその色から、最初この天体はクェーサーだと考えられていた。しかしおよそ 1 年後に再び観測してみると明るさが 1/10 以下になっていたので、これは超新星でもクェーサーでもなく GRB の残光らしいとうことがわかったのだ。

GRB の際に発生するガンマ線は細く絞られたジェットとなって 2 方向(双方向ジェット)に放たれると考えられている。しかし、残光の方向性や光の強さについては意見が分かれている。バーストのジェットと同じ絞られた方向になるというモデルや、全方向に等方的になるだろうというモデルがある。今回ガンマ線が見えずに残光だけが見つかったことで、等方モデルのほうが可能性が高くなったといえるだろう。

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