いっかくじゅう座に奇妙な新星?特異変光星?

【2002 年 1 月 10 日 VSOLJ ニュース 077・加藤 太一(京大・理)氏】

イタリア、アジアゴ天文台の飯島孝さんからの連絡によれば、N. J. Brown がいっかくじゅう座に新星らしき天体を発見しました。天体の存在は飯島さん、確認観測を行ったVSOLJ(日本変光星観測者連盟)の清田誠一郎さん、高尾明さん、および京都大学大宇陀観測所で植村誠さんたちによって確認されました。報告された天体は非常に赤いことが確認されています。

九州大学の山岡均さんは、清田さんの画像から位置を以下のように測定しました。

  07h 04m 04s.801  (J2000.0)
  -03° 50' 50".77

この位置は、GSC 4822.39 の位置とほぼ正確に一致し、この天体が爆発的増光を起こしたものと思われます。この位置には赤外線天体 IRAS 07015-0346 があり、おそらく関連しているものと思われますが、この IRAS 天体の赤外線の特徴は通常の星のものとは大きく異なります。さらに奇妙なことに、この GSC 天体は近赤外線サーベイの 2MASS でも記録されていますが、通常の赤色変光星のような赤い色を示していません。

飯島さんのスペクトル観測によれば、非常に赤い連続光の上に、遅い(200km/s 程度)の膨張を示す非常に弱い水素輝線と、金属の弱い輝線が検出されていますが、これらの特徴は典型的な新星とはかなり異なっています。さまざまな情報を総合すると、もともと青い星であった GSC 4822.39 が新星に似た何らかの大きな爆発を起こしたのではないかと思われますが、特異変光星の可能性も考えられ、今後の動向の追跡と正体の解明が待たれます。

埼玉県の前原裕之さん(VSOLJ)によれば、1 月 9.625 日(UT)には眼視光度 10.7 等と報告されています。

CCD 画像(大宇陀観測所、清田さん)は以下から取得できます。ouda_i.gif(大宇陀観測所 I バンド画像)の中央の明るい天体が問題の天体です。
ftp://ftp.kusastro.kyoto-u.ac.jp/pub/vsnet/Novae/gsc4822.39/

VSNETのホームページでも今後の情報を公開の予定です。公開時期はまだ未定 ですが、以下を時々チェックしていただけるとよいでしょう。
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/vsnet/index-j.html

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