池谷さん、明るい新彗星を発見
【2002年2月4日 国立天文台・天文ニュース (521)】
静岡県森町の池谷薫(いけやかおる)さんが新彗星を発見しました。
2月1日午後7時頃、口径25センチメートル・39倍の反射式望遠鏡で、くじら座に9等級の新彗星を肉眼観測で発見しました。コマの見た目の直径は2分。30分間に北西に5分の移動がありました。中国河南(ハイナン)省開封(カイフォン)市近くの張大慶(チャンデキン)さんも口径20センチメートルの反射式望遠鏡で独立に発見しています。この新彗星にはC/2002 C1の認識符号が与えられました。発見後いくらも時間が経っていないので、日心軌道はまだ求められていません。このあと「池谷・張 彗星(Ikeya - Zhang)」の通称になる見込みが大きいと思われます。
池谷さんは20世紀最大級の「イケヤ・セキ彗星」など1960年代に5個の彗星を見つけている大ベテランです。
日本人による新彗星の発見は2001年11月の「バッターズ彗星; C/2001 W2 (BATTERS)」以来。池谷さん自身の発見としては1967年の「第2イケヤ・セキ彗星」以来35年ぶりとなります。
お二人からの発見報告は以下のとおり
2002 UT R.A. (2000) Decl. m1 Observer Feb. 1.408 0 08.9 -17 42 9.0 Ikeya 1.47 0 09 -17 30 8.5 Zhang
(アストロアーツによる補足)
IAUC 7813 による新彗星の軌道要素は以下のとおりとなっている。なお、この軌道要素は現在までの観測から得られているものなので、今後値が変更される可能性もある。星図はこの軌道要素をもとにした暫定的なものだ。実際の空では夕方の西空低空に見える。明るさは現在 8 等級で、10 日頃に 7 等級に入ると予想されている。
近日点通過 | 2002 年 3 月 8.912 日 |
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近日点距離 | 0.49127 AU |
離心率 | 1.0 |
近日点引数 | 19.237 度 |
昇交点黄経 | 111.715 度 |
軌道傾斜角 | 26.341 度 |
標準光度 | 8.5 等 |
光度係数 | 10.0 |