3月9日、10日に起こる小惑星による恒星食の改良予報
【2002年3月5日 せんだい宇宙館】
小惑星による恒星食の予報を2件お届け申し上げます。観測の可能な方は是非ご協力頂きたくお願い申し上げます。また、近隣の方々にも呼びかけをお願い申し上げます。
小惑星(9)Metis による恒星食の改良予報
3月9日の小惑星(9)Metis による TYC 1921-02569-1(mag 10.7)の掩蔽のIOTA による改良予報が発表されました。
■ 2002.03.09 20h50m JST 恒星 :TYC 1921-02569-1 赤経 07h 16m 04.759s,赤緯 +29° 16' 44.35"(J2000) 10.7等 ふたご座τ星の南東 約1° 26' わずか 1'34"南に7.5等星(HIP35162)がある 小惑星:(9)Metis 10.0等 減光 :約 0.5等 継続時間は最長 33.8秒 掩蔽帯:奄美列島付近
恒星よりも小惑星が明るく、減光はわずか0.5等である。ビデオ観測の場合には、恒星像が飽和しないように注意したい。掩蔽帯は奄美列島付近である。掩蔽帯の幅は 184km。掩蔽帯の誤差(1σ)は、掩蔽帯の幅のわずか +/-29%と発表されており、減光の小さいことを除いて好条件の現象。
小惑星(595)Polyxena による恒星食の改良予報
3月10日の小惑星(595)Polyxena による TYC 2954-00570-1(mag 9.6)の掩蔽のIOTA による改良予報が発表されました。
■ 2002.03.10 18h27m JST 恒星 :TYC 2954-00570-1 赤経 06h 55m 54.997s,赤緯 +43° 44' 00.43"(J2000) 9.6等 ぎょしゃ座ψ5星の東 約01° 40' ぎょしゃ座とやまねこ座の境界付近 小惑星:(595)Polyxena 13.8等 減光 :約 4.2等 継続時間は最長 11.6秒 掩蔽帯:北陸地方,中部地方,東海地方
薄明中であるこを除き、たいへん好条件の現象。掩蔽帯の幅は 113km。掩蔽帯の誤差(1σ)は、掩蔽帯の幅の +/-71% と発表。
これらの予報は、ファインダーチャートとともに、以下のページにおきました。http://www2.synapse.ne.jp/uchukan/
改良予報の在所: http://www.oz.net/~stevepr/Asteroids/asteroid.htm
観測に成功されましたら、是非、国立天文台相馬充氏 または、せんだい宇宙館早水勉までご報告をお願いいたします。観測されましたデータは、IOTA,国立天文台,海上保安庁水路部,東亜天文学会 他、広く公開され星食の研究に役立てられます。
必要なデータは、
- 観測者氏名
- 観測地および観測地の経緯度
- 観測開始と観測終了の時刻
- 減光が観測されたか? 減光が観測されなくとも重要なデータです。
- 減光がおきた場合の時刻:減光開始の時刻および減光終了の時刻
- 観測機材
- 時刻保持の方法
です。観測は眼視によるものでも重要なデータとなりますが、可能な方は、是非ビデオによる観測をお願いいたします。時刻保持のためには、極力、GPS時計、短波時報(外国)などの正確な時報を用いてください。固定電話による117時報も0.03秒程度の信頼性があります。携帯電話の時報、電波時計、は遅れが大きいので避けてください。
星食観測は多くの観測者により成立するものですので、この種の現象を通じて、天文仲間のフレンドシップの広がることを期待しております。