最遠天体の記録更新
【2002年3月11日 University of Hawaii, Institute for Astronomy】
ハワイ大学などの研究者グループが、これまで見つかった銀河の中でもっとも遠方にあるものを見つけたと発表した。
研究グループは、ハワイのマウナケア山にあるケック望遠鏡やすばる望遠鏡を用い、星が形成されている銀河に特徴的なライマンαと呼ばれるスペクトル中の輝線を観測した。また、遠方にある銀河の光を増大させるために、Abell 370という銀河団の重力レンズ効果を利用した。この銀河団がレンズの役割を果たして、その背後にある銀河の存在を浮かび上がらせてくれたわけである。
こうやって発見された銀河は、ビッグバンからほんの8億年ほどしか経ってない頃の宇宙のものであることがわかった。(8億年という数字は、宇宙の年齢を決定するパラメータによって多少変わる。)遠さを表す「赤方偏移パラメータ z」で言えば、今回の銀河はz=6.56と測定された。なお、これまでの最遠天体はz=6.28のクェーサーだった。
今回見つかったのが、クェーサーのような非常に明るい天体ではなく普通の銀河であることにも意義がある。今後、地上の大型望遠鏡や(次世代の)宇宙望遠鏡などを用いて、初期宇宙における銀河や星の形成に関する研究が進むことが期待される。