超巨大ブラックホールは宇宙のごく初期から存在していた
【2002年4月3日 Chandra Photo Album】
NASAのX線観測衛星チャンドラの観測により、クェーサーの中心にあると考えられている超巨大ブラックホールは宇宙誕生からわずか10億年後にはすでに存在していたらしいことがわかった。
今回チャンドラによる観測の対象になったのは、近ごろスローン・デジタル・スカイ・サーベイという観測で可視光で見つかったものである。その距離はおよそ130億光年と測定されており、これまでに知られているクェーサーの中で最も遠いものである。チャンドラの観測により、これらのクェーサーから非常に強力なX線が放射されていることがわかった。このX線は、クェーサー中心に存在すると考えられている超巨大ブラックホールから放射されている。
観測の結果、これら3つのクェーサーはもっと近くにある(すなわちもっと年老いた)クェーサーとあまり違わないということがわかった。ただし、距離が120〜125億光年のところにある別の14個のクェーサーの観測では、遠方にあるクェーサーほどX線のエネルギーの割合が小さくなるという結果もあり、距離によってクェーサーのタイプが異なるのかどうかについて結論を出すには早いようだ。
いずれにせよ、この130億光年離れたクェーサーの中心にあると考えられている超巨大ブラックホールの質量が太陽の10〜100億倍であることに関しては意見が一致している。ちなみに我々の銀河系の中心にあるブラックホールの質量は太陽の300万倍程度と推定されている。また、3つのクェーサーのうちの1つからほんの50万光年しか離れていないところに別のX線源が見つかっており、中心ブラックホールの回転によって放出された高エネルギーのジェットではないかと考えられている。