子供たちの提案による小惑星「たこやき」、誕生

【2002年5月16日 国立天文台天文ニュース(550)

去る4月に発表された国際天文学連合・小惑星回報第45336号にて、昨年度に申請された小惑星(6562)TAKOYAKI が正式に承認され、命名されたことが公表されました。

小惑星(6562)TAKOYAKI は、2001年の宇宙の日(*)にちなみ、大阪で開催された「宇宙ふれあい塾2001」の会場において、事前に公募した小惑星の名前の候補の中から、子供たちの拍手により選出されたものです。小惑星の名前の候補として、事前に31個の案が寄せられましたが、これを実行委員会で5つに絞り込みました。そして、ふれあい塾の当日、来場した参加者に拍手をしてもらい、最も多かった「たこやき」を提案することが決まったのです。

この小惑星は、もともと北海道北見の箭内政之(やないまさゆき)氏、札幌の渡辺和郎(わたなべかずろう)氏によって1991年11月に発見されたものです。国立天文台がはじめて主催者になったことを契機に、こどもたちが宇宙への興味を持つきっかけになるよう、星に名前をつけるような取り組みができないか、という宇宙の日主催者会議の要望を受け、アマチュア天文家である箭内・渡辺両氏に特別にご協力いただいたものです。命名提案権そのものは委譲できませんので、宇宙ふれあい塾2001で決められた「たこやき」を、その経緯を添えて国際天文学連合に発見者から提案してもらいました。小惑星の発見・命名数は飛躍的に増えていますので、実際に承認されるまでかなり時間がかかりましたが、渡辺氏は「無事に命名されて、ほっとしました。大阪の子供たちが、自分たちが名付け親だ、ということをいつまでも覚えていて欲しいものです」と述べています。

国際天文学連合副会長も務める海部宣男(かいふのりお)国立天文台長は、「たこやき、という名前は面白いのではないか。国際天文学連合では命名提案権が乱用されないよう注意を促しているが、このようにこどもたちに楽しい夢を提供するのは、発見者にとってもうれしいのでは」と述べています。また主催者の一人である内田勇夫(うちだいさお)日本宇宙フォーラム理事長は「参加してくれた子供たちが、より主体的になれる新しい試みで、今後も是非続けたい」と話しています。

現在、この小惑星は、地球から約4億キロメートルの距離にあり、おうし座で18等星で輝いています。望遠鏡でも直接見るのも難しい暗い星ですが、そこには子供たちの宇宙への夢がきらきらと輝いていることでしょう。

(*) 宇宙の日:毛利衛宇宙飛行士が初めて宇宙を飛んだ日(9月12日)にちなんで制定されたものです。毎年、この日の前後に記念事業として、作文や絵画コンテスト、および宇宙ふれあい塾というイベントなどを行っています。
これまでは、文部科学省、宇宙開発事業団、宇宙科学研究所、日本宇宙少年団、日本宇宙フォーラムの主催でしたが、2001年からは国立天文台も主催に加わりました。
(参照)NASDA FAQ 宇宙の日について