子持ち銀河・M51のレントゲン写真

【2002年7月3日 Chandora Photo Album

「子持ち銀河」という愛称で有名な銀河・M51を、NASAのX線観測衛星チャンドラで撮影した画像が公開された。

(M51のX線画像)

M51のX線画像。囲みの中はM51の中心部で、さらにその中の囲みが超新星1994I(提供:NASA / CXC / U.Md / A.Wilson et al.)

子持ち銀河・M51はりょうけん座にある銀河で、地球からの距離はおよそ3000万光年である。アマチュアにも人気の高い銀河で、可視光線などの写真では、2つの銀河が相互作用を起こしているようすが写しだされる。チャンドラが撮影した画像には、1994年に爆発した超新星 SN 1994Iのほか、ブラックホールや中性子星と考えられる多くのX線源が写っている。また、数百万度にも達する高温のガスも観測されている。電波観測の結果とあわせると、このガスは、銀河中心の超巨大ブラックホール近くで発生した高速ジェット流によって加熱されたと考えられる。

超新星 SN 1994Iは、爆発後の観測から、Ic型超新星という珍しいタイプの超新星であることがわかった。爆発を起こした星は、その数千年前に水素やヘリウムの外層部分をなくし質量を失ったと考えられている。超新星の衝撃波をX線で観測すれば、どのような過程を経て質量を失っていったのかを詳しく調べることができる。チャンドラから得られたデータによれば、爆発した星の周りに直径0.2光年の雲があり、そこへ物質が流れ出ていったのだろうと考えられている。さらに観測を続ければ、雲の正確な大きさや爆発までに星が失った質量などもわかるだろう。

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