ドゥトイト・ニェウイミン・デルポルト彗星の核が分裂して20個に
【2002年7月23日 アストロアーツ】
ドゥトイト・ニェウイミン・デルポルト彗星(57P)の核が20個に分裂していることがハワイ大学の研究者たちの観測から明らかになった。この彗星は、これまでに2つの核(AとB)があることが知られていたが、今回の発見ではさらに18個もの新しい核が見つかったということだ。
この彗星は1941年に3人の観測者によって発見されたもので、6.4年ほどの周期で太陽の周りを公転している。1960年代には回帰が検出できず一時見失われていたが、現在はきちんと軌道が計算されている。また、前回1996年の回帰の際にはアウトバースト(突発的な増光)が観測されている。
彗星の核が分裂した原因としては、氷や岩石でできた彗星の核が太陽の熱によって破壊されたのだろうと考えられている。核が数個に分裂することはそれほど珍しいことではないが、今回のように20個にもなるのは大変珍しい現象だ。
IAUCによれば、A核に対して他の核の近日点通過は0.012日(C核)から0.354日(T核)まで遅れるとのことだ。A核は今月31日に近日点を通過するが、その前後の明るさは15等級前後と推定されており、かなり暗い。しかし、前述のとおり、前回の回帰の際には近日点通過後に予想よりも5等級も明るく観測されているので、今回も注意する必要がありそうだ。