矮小銀河は宇宙の酸素発生装置
【2002年7月26日 Chandra Photo Album】
NASAのX線衛星チャンドラが観測した銀河のデータを解析したところ、酸素などの重元素が多く含まれたガスの集まりが銀河の周りに存在していることがわかった。酸素の量は太陽に含まれる酸素の300万倍にも達するということだ。
観測されたのは、きりん座の銀河 NGC1569で、地球から700万光年ほど離れている。この銀河は「矮小銀河」と呼ばれるタイプの銀河で、私たちの天の川銀河系などの典型的な銀河にくらべてずっと小さいことが特徴である。
NGC1569は1000万年から2000万年前に巨大なガス雲と衝突し、爆発的な星形成や多くの超新星爆発が起こったと考えられている。超新星爆発に伴って、酸素やネオン、マグネシウム、ケイ素などの重元素が銀河中のガスへとばら撒かれ、ガスは数百万度という高温に熱せられる。そして、高温の時速数十万キロメートルという高速で銀河の外へと広がっていくのである。今回の観測では、そのガスが銀河本体(画像の白く明るいところ)の上下に広がっているようすが見事にとらえられている。
宇宙に存在する元素はほとんどが水素とヘリウムで、その他の重元素、あるいは金属(天文学では水素とヘリウム以外の元素は金属と呼ばれることが多い)はごくわずかしかない。しかし、そのごくわずかな金属は、惑星の形成や恒星の進化、さらには銀河の形成率や銀河全体の進化に大きな影響を及ぼす。
NGC1569のような矮小銀河では(大きな銀河よりは)重力が小さいため、銀河中のガスが周りの空間へと広がっていきやすい。矮小銀河は数が多いということと合わせて考えると、宇宙に存在する重元素の大半はこれら矮小銀河で作られたものであるということになるかもしれない。さらなる観測が望まれる。