中間赤外線で見た天の川の中心

【2002年10月11日 JPL News Releases

中間赤外線の波長で撮影された天の川の中心の写真が公開された。これまででもっとも高解像度のもので、中心のブラックホールにガスが回転しながら流れ込んでいくようすが捉えられている。

(天の川の中心の写真)

天の川の中心(提供:NASA / JPL

写真は、ハワイのケックII望遠鏡にNASAJPLが開発した赤外線カメラを取り付けて撮影された。中間赤外線は室温くらいの温度でもっとも明るく輝いて見えるので、地上から中間赤外線で観測をするのは昼間に星の光を見るのと同じようにひじょうに困難である。開発されたカメラは特殊な技術を用いてこの問題を克服し、3つの異なる波長で天体を観測することが可能だ。

写真の中心には太陽の300万倍とも言われる質量を持つブラックホールがあるはずだが、この波長では見えていない。ブラックホールの強力な重力によって、ガスやチリなどは回転しながらブラックホールへと落ち込んでいくが、そのようすが捉えられている。他にも、太陽の10万倍以上も明るい星や、強い恒星風によってガスやチリが吹き飛ばされてできた空洞(中央の暗いところ)なども写っている。

天の川の中心で起こっている現象を研究することで、より活動的で遠方にある天体、クエーサーやセイファート銀河について知ることができる。2010年打ち上げ予定のジェームズ・ウェブ宇宙望遠鏡にも中間赤外線カメラが搭載される予定だが、地球の大気の影響を受けずに観測できるので、今回の1000倍もの感度で遠方銀河の中心を観測できるだろうということである。

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