1個の銀河に2つの超巨大ブラックホールが見つかった
【2002年11月20日 Chandra Photo Album】
NASAのX線観測衛星チャンドラによる銀河の観測で、初めて、1つの銀河中に2つの超巨大ブラックホールが見つかった。これらのブラックホールは数億年のうちに合体してさらに大きなブラックホールになると考えられている。
チャンドラが観測したのはへびつかい座にある銀河 NGC6240で、地球からはおよそ4億光年離れている。以前から中心からX線が放射されていることがわかっており、電波や赤外線による観測では明るい核が2つあることがわかっていた。研究者たちは、この核のうちどちらかがブラックホールではないかと考えてチャンドラによる観測を行なったのだが、思わぬことに実は両方ともがブラックホールだったというわけである。
NGC6240は2つの小さな銀河が衝突、合体してできあがった銀河だと考えられており、こういったタイプの銀河に特徴的な激しい星形成活動が見られる。発見された2つのブラックホールは元々はそれぞれの銀河の中心にあったものかもしれない。2つのブラックホールの間は3,000光年ほど離れているが、今後数億年かけてお互いの周りを回りながら近づいていき、最終的には1つになると考えられている。
ブラックホールが1つになる過程の最終段階では、強い重力波が放出されると予想されている。現在、世界各地で重力波を検出する設備の建設が進められており、このような現象(宇宙全体で1年に数回は発生すると考えられている)で放出される重力波の検出に期待が寄せられている。