オーストラリア皆既日食の最新ベッセル要素
【2002年11月29日 アストロアーツ】
12月4日には、大西洋から始まりアフリカ南部を横断、インド洋を通り、オーストラリア南部で終わる皆既日食があります。日本からも、グレートオーストラリア湾を臨む小さな町、セドュナをベースとした観測ツアーが組まれています。そこで、観測ツアーの出発前に、現地での予報を紹介しておきましょう。
今回のオーストラリア皆既日食では、皆既時の太陽高度が8.7度と低く、しかも皆既の継続時間が約32秒と短いため、望遠鏡でコロナの詳細を写真に撮るというより、グレートオーストラリア湾に沈む日食情景を狙った方が、ドラマチックな写真が得られるかもしれません。皆既時には太陽の上に−0.6等の水星が、左側に1.0等のアンタレスが見えるはずです。また、低空での皆既日食では、本影錐が確認しやすいので、ぜひ注目してください。多くの観測者が訪れるセドュナの観測テント村では、皆既帯の中心線に近いので、本影は太陽の下から上方へと移動していきます。そして、皆既から約50分後の部分日食中に、グレートオーストラリア湾に欠けたままの太陽が沈みます。セドュナの観測テント村での日食予報は以下のとおりです。
<日食データ表>
観測地:オーストラリア/セドュナ
東経:133°40' 18" 南緯:32°07' 20" 標高:5m
現象 | 世界時(UT) | 地方標準時(LST) |
---|---|---|
第1接触 | 08時10分15秒 | 18時40分15秒 |
第2接触 | 09時10分10秒 | 19時40分10秒 |
最大食 | 09時10分26秒 | 19時40分26秒 |
第3接触 | 09時10分42秒 | 19時40分42秒 |
皆既継続時間:32秒
*各時刻は世界時(UT)と地方標準時(LST、UT+10.5・サマータイム)で、平均月縁によるもの。実際には月の縁の凹凸や計算精度によって前後数秒ズレることがありますし、観測テント村での位置によっても前後数秒の差が出ます。
<エクリプスナビゲータのベッセル要素の更新>
アストロアーツ発売の、日食シミュレーションソフト「エクリプスナビゲータ Ver.1.0」の「2002年12月4日アフリカ-オーストラリア皆既日食」のベッセル要素を使ってシミュレーションすると、上記の最新データと最大30秒のズレが発生します。エクリプスナビゲータのベッセル要素設定ダイアログを開いて以下の数値を打ち込んで更新してください。
更新方法
- エクリプスナビゲータのファイルメニューの〔設定〕→〔ベッセル要素〕を開き、ベッセル要素のデータ「20021204.BSL」を開いてください。
- ベッセル要素の各数値を画面(クリックで拡大表示します)と同じ数値に修正してください。
- 「保存」ボタンをクリックして新しいベッセル要素を保存してください。