ハッブルの観測から求められた、系外惑星の正確な質量

【2002年12月6日 STScI Press Releases

NASAのハッブル宇宙望遠鏡による恒星の運動の観測から、その恒星を公転している惑星のかなり正確な質量が求められた。発表によると、惑星の質量は木星の1.89倍から2.4倍の間だということだ。

質量が求められたのは、地球から15光年ほど離れたみずがめ座にあるグリーゼ876という恒星の周りを公転している惑星(グリーゼ876b)である。この惑星は1998年に地上の望遠鏡の観測から見つかったものだ。その後、ハッブル望遠鏡を用いて2年以上にわたり恒星の運動を調べ、そこから惑星が恒星に及ぼす力の大きさを計算し、惑星の質量を求めたのだ。これまでの質量の推定値は木星の1.9倍から100倍と大きな幅があったが、高精度ガイドセンサー(Fine Guidance Sensors)によって正確な位置を測定したことで今回のように推定値の幅を小さくできたのである。

系外惑星の質量を知ることは、その惑星がどのようにできあがったのかという疑問や、惑星と中心の恒星の質量や距離には関係があるのかといった謎を解明していくために重要である。ハッブル宇宙望遠鏡よりさらに高精度に位置を測定できる、NASAが計画している「宇宙干渉法計画(Space Interferometry Mission)」では、さらに多くの恒星の運動が観測できるようになり、より多くの惑星の質量が正確に求められるようになるだろう。