新彗星は「工藤・藤川」彗星に

【2002年12月17日 国立天文台天文ニュース(606)

天文ニュース(605)でお伝えした新彗星2002 X5ですが、香川県三豊郡大野原町の藤川繁久(ふじかわしげひさ)さんも独立発見をしており、工藤・藤川彗星(COMET C/2002 X5、KUDO-FUJIKAWA)の呼称が与えられました。

藤川さんは12月15日午前5時35分に口径16センチメートル反射望遠鏡で発見しています。この内容は国立天文台の渡部潤一(わたなべじゅんいち)さんを通じて国際天文学連合へ報告されました。

公表された軌道要素は以下の通りです(アストロアーツ注:下の追加情報のところへ記述しています)。

2003年1月中旬に肉眼彗星になりそうです。

藤川さんは彗星観測のベテランで、これまに8個の彗星を独立発見しています(国立天文台 広報普及室の資料による)。また、既報の彗星であったため独立発見としては認められなかった彗星も多く発見しています。

<アストロアーツによる追加情報>

藤川さんの名前がついた彗星は以下のとおり。このうちデニング・藤川彗星は回帰を検出したものである。

  • 藤川彗星(C/1969 P1)
  • 大道・藤川彗星(C/1970 B1)
  • 森・佐藤・藤川彗星(C/1975 T1)
  • デニング・藤川彗星(72P)
  • 菅野・三枝・藤川彗星(C/1983 J1)

IAUC 8033、およびMPEC 2002-Y14で発表された暫定の軌道要素は以下のとおり(ただし標準光度と光度係数は発表された予報を再現するように設定、角度に関する要素は2000.0年分点)。

工藤・藤川彗星の軌道要素(観測数:48)
近日点通過(T)2003年1月28.776日
近日点距離(q)0.18485 AU
離心率(e)1.0
近日点引数(ω)188.205°
昇交点黄経(Ω)119.389°
軌道傾斜角(i)94.431°
標準光度(H)6.5等
光度係数(K)10.0

上記の軌道要素から求めた位置推算表は以下のとおり(日本時間0時、位置は2000.0年分点)。

工藤・藤川彗星の位置推算表
日時赤経赤緯等級
2002/12/1816h16m11.7s+43°10'02"7.4
2002/12/2016h32m53.8s+41°42'02"7.2
2002/12/2216h49m27.6s+40°02'14"7.0
2002/12/2417h05m46.3s+38°10'40"6.7
2002/12/2617h21m43.6s+36°07'39"6.5
2002/12/2817h37m14.2s+33°53'46"6.3
2002/12/3017h52m13.7s+31°29'49"6.1
2003/ 1/ 118h06m39.0s+28°56'48"5.8
2003/ 1/ 318h20m28.1s+26°15'50"5.6
2003/ 1/ 518h33m39.9s+23°28'00"5.4
2003/ 1/ 718h46m14.3s+20°34'22"5.1
2003/ 1/ 918h58m12.0s+17°35'47"4.8
2003/ 1/1119h09m34.3s+14°32'52"4.5

<参照>

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