ηカリーナ星雲中に見つかった原始惑星体

【2003年1月21日 NOAO Press Release

南天にある有名な星雲、ηカリーナを観測していた研究グループが、原始惑星体(proplyd)と呼ばれる繭のような天体を多数発見した。これらの天体にはガスやチリでできた円盤があるかもしれず、もしあれば将来惑星系が誕生する可能性がある。

公開された原始惑星体の画像。観測はセロ・トロロ・アメリカ天文台の口径4m望遠鏡を用いて行なわれた(提供:University of Colorado / NOAO / AURA / NSF

似たような種類の天体は、地球から最も近い大質量星の形成場所として有名なオリオン大星雲にもたくさん見つかっている。オリオン大星雲で見つかっている天体にはガスやチリでできた原始惑星系円盤と呼ばれる円盤状の構造があり、これらの円盤中の物質が集まって惑星ができると考えられているのだ。

ηカリーナ中に見つかった原始惑星体がオリオン大星雲のものと大きく異なっている点は、この天体がηカリーナの付近は銀河系の中でも特に高温で質量の大きな星の近くに多く見つかっているという点だ。これまでは高温で大質量の星からの強烈な紫外線によって原始惑星体はすぐに蒸発してしまうと考えられていたため、ηカリーナのような過酷な環境での発見は予想外だったのである。

また、ηカリーナの原始惑星体はオリオン大星雲で見つかっているものよりも5倍から10倍大きく、形も異なっているようである。大きなものは太陽系の100倍にも相当する。この違いは、ηカリーナとオリオン大星雲の環境の違いによるものかもしれないが、単に観測した望遠鏡の解像度の問題で小さい天体が見えていないだけかもしれない。研究グループは、分光観測を行なったりハッブル宇宙望遠鏡を使ってより詳しく観測したりして、オリオン大星雲に見られるような小さな原始惑星体がηカリーナにも見つかるかどうかを調べたいとしている。

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