小惑星探査機MUSES-Cの打ち上げ迫る

【2003年5月2日 アストロアーツ】5月7日更新

<5月7日更新分>

MUSES-Cの打ち上げがインターネットでライブ中継されることになった。中継は9日(金)13時25分より、20分放送予定となっている。詳しくは以下の中継サイトを参照のこと。

宇宙科学研究所: MUSES-C LIVE!


宇宙科学研究所の小惑星探査機MUSES-Cが、今月9日(金)にM-Vロケット5号機で打ち上げられる。

(MUSES-Cのイラスト)

小惑星に接近するMUSES-Cの想像イラスト(提供:宇宙科学研究所)

MUSES-Cは世界初の小惑星サンプルリターンに挑む探査機だ。サンプルリターンとは、目標の天体から岩石などを採取し地球に持ち帰ってくる探査方法である。予定では2005年6月に小惑星1998 SF36に到着し、11月まで観測を続け、2007年ごろ戻ってくることになっている。また、小惑星の表面で衛星に着地点を知らせる役目を果たすターゲットマーカーには、世界149か国から寄せられたおよそ88万人の名前が印字されている。MUSES-Cは、世界中の人々の名前と夢を小惑星に届けるというわけだ。このターゲットマーカーは、半永久的に小惑星の表面に残る。

さらに、将来の惑星探査に必要となる新しい工学技術の実証も重要な任務だ。今回の計画から得られたデータが未来の惑星探査機へとフィードバックされるという面においても、意義の大きい計画なのである。

なお、宇宙科学研究所のM-V-5号機打上げ準備状況のページでは、M-V-5号機を組み立てているようすを見ることができる。他にも宇宙科学研究所内のMUSES-C関連のページで計画の詳しい紹介などが見られるので、下記の関連リンク先を参考にしていただきたい。また、天文雑誌「星ナビ」の2003年6月号でもMUSES-Cについて徹底的に解説しているので、ぜひご覧いただきたい。

また、6日(火)21時15分よりNHKで「プロジェクトX 〜挑戦者たち〜」で「ハレー彗星に突入せよ 76年に一度の大勝負」と題した番組が放送される。内容は、1986年にハレー彗星の核に接近し観測を行なった宇宙科学研究所の衛星開発にまつわるストーリーだ。今回のMUSES-C計画と同様、世界最先端の科学技術に挑んだ科学者たちの姿を見ることができるだろう。こちらの番組もぜひお見逃しなく。